FC2ブログ

  今はもう彼岸の人になっている私の父は 肉類の好きな人だった。

  お肉なら なんでも好きで 当時 豚を飼っているお宅からか お店からか
時々 今でいうホルモンを買って来て 味噌で味付けし 焼いたり煮たりして食べた。
  まだ ホルモンなど 世間に出回っていない頃だった。元来 あまり 肉類が
好きではなかった私は 箸を付けなかったが 父と弟は 美味しそうに食べていた。

  そんな我が家の 丑の日は 毎年必ず うなぎではなく トンカツだった。
  このときばかりは 母親でなく 父が自らカツ肉を買って来て 料理した。
  小麦粉をつけ卵をくぐらせ パン粉をつけて油で揚げる それを すべて自分で
やって 私たち家族に食べさせてくれた。
もちろん 食べる時には フォークとナイフを使った。

  トンカツは丑の日とは限らず 家族の誕生日だったり 家族のお祝いの日だったりに
よく食卓に載った。

  たまに高山へ家族で出かけると その頃 市内に二軒あった食堂の内の一軒に
入り ご飯を食べた。
  そして 注文するのは 父は 必ずトンカツ 母や私や弟は その日の気分次第で
トンカツにしたりカツ丼にしたりした。
  その後 私と弟は これも必ず コーンのソフトクリームを食べたものだった。

  大人になるに連れて 社会もドンドン西洋化していき レストランで
ナイフやフォークを使う料理が 珍しくなくなっていったが その頃はまだまだ珍しくて
周囲のお客さんが ジロジロ見ていたのを 覚えている。

  長じて ナイフやフォークを使うことが 億劫でなかったのは 子供の頃からの
そうした食生活の影響も 大きかったのかもしれない。
  そのせいか お肉嫌いの私だが トンカツだけはずっと大好きで 今でもよく食べる。

  後年 認知症になった父だったが お肉好きだけは 相変わらずで
カツ肉を 入歯だったにもかかわらず 美味しい と 言って 食べてくれた。

  辛かったことや悲しかったことも 家族にはあったが 今では すべてが
恩讐の彼方に消えた。
  思い返してみると 子供の頃の思い出の中は 両親と私に弟が いつも一緒だ。
  そう思うと 子供の頃には 楽しかった事もたくさんあったのだ と 気付かされる。

  丑の日が来る度 あの頃のことや 台所でトンカツを揚げる父の姿を 思い出す。
スポンサーサイト



土曜日曜は楽

午後には 激しい雷雨

comment iconコメント ( 0 )

コメントの投稿






trackback iconトラックバック ( 0 )

Trackback URL:

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)