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夫の勤務先の理事長が亡くなったのは ことのほか暑い八月の半ばだった。

叔母が救急車で運ばれるのと 葬儀の時刻が重なってしまい 大変だった。

早いもので もう三ヶ月が過ぎた。

夫の雇い主だから 妻である私とは接点がないはずが 思いがけなくもご縁があった。

生家が亡母の実家に近く 母はもちろん祖母のこともよくご存知だとわかったのだった。
理事長は このご縁を 驚きながらもとても喜んでくださった。

そして 私と顔を合わせると 生家の近隣の話や昔のことなど 懐かしそうに話された。

体調が悪くなって入院された時 どなたの面会もお断りになっていたのを
夫と私がお見舞いに伺うと 私たちになら会いたい と 病室に入れてくださり
弱ってベッドに横たわりながらも 元気になったらまた故郷の話がしたい と
しっかりした声で おっしゃってみえた。

それが お会いする最期になった。

同郷だったからか 理事長には 亡母と同じ雰囲気があった。

話される言葉や抑揚にも 母を想わせるものがあって お会いするたびに
懐かしさや恋しさを感じたものだった。

たった十年の縁だったが 私にとっては 大切な十年だった。

そして今日 私に かたみ として 理事長が使わないでとってあったストールを
娘である園長から 手紙を添えて いただいた。

それは ラベンダー色の優しい手触りのストールだった。
カシミヤの温かいぬくもりは 生前の理事長の 穏やかなお顔を偲ばせて
熱いものがこみあげてきた。

お心にかけていただいたことと 私にまで かたみ をくださったことを感謝して
今夜 園長に お礼の手紙を認めた。

あの世で もう 母や祖母は 理事長とお会いしただろうか・・・。
夫や私が この世でよくしていただいたお礼を 伝えてくれただろうか・・・。


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